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第3回

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terajima
寺嶋正秀 教授

寺嶋:はい。私は化学教室に所属しております。私の研究分野は物理化学という物理と化学をミックスしたような分野で、特に生体分子を扱って研究しています。化学教室というのは、高校生のイメージだと主に有機化学、つまり分子をどのように作るかというのが多分メインになってくると思います。それに対して、どうしてそういう分子が存在するのか、どうして化学結合が存在するのか、どうしてこの分子が安定なのか、どうしてこの分子が反応するのか、どういうメカニズムで反応するのか、といったような分子に対しての知識の原因を追究するというのが物理化学の本質だと思います。私も学生時代、それからここのスタッフになってからしばらくは、比較的小さい有機分子の電子励起状態や化学反応の分子論的なメカニズムを調べていました。どういう反応がそこで起こって、どういう中間状態を経てそのダイナミクスが起こっているのかというのを調べていたのですが、最近になってもうちょっと大きい生体分子、タンパク質がどのようにして働いているかというところに興味を持って、そちらに足を移してきました。化学反応というのは非常にバラエティーに富んでいて、いろんな反応を制御するということは社会にとってもすごく有用で重要なことです。それと共に、生命の神秘を解き明かすためには、どうしてそういう反応が起こって生理学的な機能を発揮するのかということを分子論的に根本から追及したいというのがあって、生体分子の反応を調べるということになってきました。そういうわけで、私はいろんなタンパク質の化学反応を調べています。例えば、長谷先生がされているような視覚についての研究をやっています。光を受ける分子がどういう反応を起こして、どうやって視覚としての情報を伝えているかという、その分子論的な機構を調べています。また、筋肉がどうしてこのように動けるのかということについて、分子論的な動きやメカニズムを研究していたこともあります。現在はそのように、分子の立場から生命現象を理解したいと思って研究しています。今はいくつかのタンパク質の化学反応の初期ステップと次のステップくらいを調べているのですが、ゆくゆくはそういったいくつかのタンパク質の情報の流れを突き止めて、その生物がどうして目が見えるのか、どうして筋肉が動くのか、どうして血液が酸素を運ぶのかということの分子論的な機構を明らかにしたいなと思っています。

三輪:はい、ありがとうございます。では、高橋先生、お願いします。


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